システム開発を外注するとき、「受託」「SES」「準委任」といった言葉に戸惑う方は多いです。結論から言うと、この3つは契約の形が違い、成果物への責任や費用の発生の仕方が変わります。この記事では、発注者の目線でそれぞれの違いとメリット・デメリット、自社に合う選び方を整理します。
結論:違いは「何にお金を払うか」
3つの契約形態の一番の違いは、「成果物にお金を払うのか、作業時間にお金を払うのか」です。受託開発は完成した成果物に対して、SES・準委任は提供された作業(労働・稼働)に対して支払います。
この違いが、責任の所在・費用の見通し・柔軟性のすべてに影響します。ここを押さえれば、自社にどれが合うかが見えてきます。
3つの契約形態の違い
まず全体像を比較表で示します。
観点 | 受託開発(請負) | SES/準委任 |
|---|---|---|
支払いの対象 | 完成した成果物 | 提供された作業・稼働時間 |
成果物の完成責任 | 開発会社が負う | 原則、負わない |
費用の見通し | 契約時に総額が確定しやすい | 稼働に応じて変動 |
仕様変更への柔軟性 | 追加費用・再見積になりやすい | 比較的柔軟に対応できる |
向く場面 | 要件が固まっている | 要件が動く・伴走してほしい |
※ 厳密には「SES」は契約形態の呼称ではなく、準委任契約でエンジニアの労働を提供する形態の通称です。契約上は準委任(または派遣)にあたります。指揮命令の所在で整理すると、SES(準委任)は指揮命令がベンダー側、派遣は指揮命令がクライアント側、請負は完成責任があり機能・プロジェクト単位の単価になる、という違いがあります。
SES・準委任のおおまかな費用感
SES・準委任は稼働(人月)に対して支払うため、エンジニアのスキルレベルで月額単価が変わります。
※費用は各社が公開する相場情報をもとにした一般的な目安です。要件により大きく変動します。
一般的な相場の目安としては、初級で月額約40〜60万円、中堅で約60〜80万円、シニアで約80〜100万円、スペシャリスト級で100万円以上とされます。ただしこのスキル別の単価表は一社(LASSIC)の集計をもとにした目安であり、実際の単価は地域・技術・需給で変動します。
参考として、厚生労働省「労働者派遣事業報告」による派遣料金は1日あたり32,871円(月換算で約72万円)という政府統計があります。ただしこれは労働者派遣の料金であり、SES・準委任とは原価構造が異なる参考値です。両者を同じものとして比較しないよう注意してください。
受託開発(請負)のメリット・デメリット
まず受託開発(請負契約)から見ていきます。
メリット
契約時に総額が確定しやすく、予算が読める
完成責任を開発会社が負うため、発注側の管理負担が軽い
「何を作るか」が明確な案件に向く
デメリット
仕様変更のたびに追加費用・再見積が発生しやすい
要件が固まっていないと、見積もりにリスク分が乗って割高になる
進め方の細かい部分を開発会社に委ねることになる
SES・準委任のメリット・デメリット
次にSES・準委任です。近年、柔軟性を理由に選ばれることが増えています。
メリット
要件が動くプロジェクトでも柔軟に対応できる
エンジニアと密に進められ、社内に近い感覚で開発できる
完成責任がない分、仕様変更のハードルが低い
デメリット
成果物の完成責任がなく、進行管理は発注側の負担になる
稼働に応じた支払いのため、総額が読みにくい
発注側にプロジェクトを管理できる人材が必要
自社の状況に合う選び方
どちらが良いということはなく、自社の状況で選びます。判断軸を整理します。
要件が固まっている・予算を確定したい → 受託開発(請負)
要件が動く・作りながら決めたい → 準委任(SES)
社内に開発を管理できる人がいる → 準委任も選択肢
管理負担を減らし丸ごと任せたい → 受託開発
現実には、「初期の要件定義は準委任で伴走してもらい、固まったら受託で作る」といった組み合わせも有効です。フェーズで契約形態を変える発想を持つと、リスクとコストのバランスが取りやすくなります。
Gonmuraの契約形態
Gonmuraでは、要件が固まっている案件は請負(受託開発)、要件が動く・伴走が必要な案件は準委任、というように、案件の状況に応じて契約形態を選べるようにしています。前述のとおり「要件定義フェーズは準委任で伴走し、固まったら請負で作る」といったフェーズごとの使い分けも柔軟にご相談できます。どの形が合うか分からない段階でも、まずは進め方から一緒に整理します。

