システム開発を検討し始めて、最初にぶつかるのが「結局いくらかかるのか」という疑問です。結論から言うと、実際の受発注データではWebシステム・業務支援システムで平均360万〜390万円前後、基幹システムで平均540万円前後ですが、作り方次第で数十万円から数千万円まで変わります。この記事では、費用相場の早見表と人月単価の仕組み、見積内訳の見方まで、発注前に知っておきたいお金の知識を整理します。
結論:システム開発の費用相場(早見表)
まず全体像です。比較サイトのPRONIアイミツが公開している実際の受発注データをもとに、システムの種類別の相場を示します。
| システムの種類 | 平均 | 中央値 | 幅 |
|---|---|---|---|
| 基幹システム | 約542万円 | 約321万円 | 100万〜3,000万円超 |
| 業務支援システム | 約361万円 | 約184万円 | 数十万〜数百万円 |
| Webシステム | 約389万円 | 約203万円 | 10万〜数千万円 |
平均と中央値に差があるのは、一部の大型案件が平均を引き上げているためです。肌感覚に近いのは中央値のほうだと読むのが実態に合っています。
作り方でも金額の桁が変わります。相場メディアのシステム幹事では、既存ツールの導入なら10万円前後、ツールのカスタマイズで50万〜300万円、ゼロから作るスクラッチ開発は300万円〜数千万円が目安とされています。
※いずれも公開されている相場情報・受発注データをもとにした一般的な目安です。要件・体制により大きく変動します。
費用の正体は「人月」——計算の仕組み
システム開発の費用は、材料費ではなくほぼ人件費です。多くの開発会社は「人月単価 × 人数 × 期間」で見積もりを計算します。
人月とは、エンジニア1人が1か月稼働する作業量の単位です。たとえば人月単価80万円のエンジニア2人が3か月開発すると、80万円 × 2人 × 3か月 = 480万円が開発費のベースになります。
ランク別の人月単価の目安
| ランク | 人月単価の目安 |
|---|---|
| プログラマー | 60〜70万円 |
| 初級SE | 60〜80万円 |
| 中級SE | 80〜120万円 |
| 上級SE | 100〜160万円 |
| PM・コンサルタント | 70〜130万円 |
この単価表は相場メディア(システム幹事・発注ラウンジ)が公開する目安をまとめたものです。サイトによってランクの区分や幅が異なるため、概算の物差しとして使ってください。
参考として、フリーランスエンジニアの平均月額単価は75.5万円という調査もあります(エン・ジャパン、2025年3月時点の案件掲載データ集計)。会社への発注より安く見えますが、進行管理や品質保証を自社で担う前提になるため、単価だけでの比較は禁物です。
見積書の内訳——開発以外に何にお金がかかるのか
見積書には「開発(実装)」以外の工程が並びます。相場メディア(システム幹事)が示す工程別の費用比率の目安は次のとおりです。
| 工程 | 費用比率の目安 |
|---|---|
| 要件定義 | 約10% |
| 設計(基本・詳細) | 10〜20% |
| 開発・実装 | 50〜60% |
| テスト | 約5% |
| 進行管理(PM費) | 約10% |
この比率は一つの相場記事による目安で、案件によって構成は変わります。それでも「実装は全体の5〜6割で、前後の工程に4割前後かかる」という構造は押さえておく価値があります。要件定義や設計を省いた安い見積もりは、この4割ぶんを後から払うことになりがちです。
公開後の保守運用費も忘れがちな費目です。年間で開発費の5%程度が目安とされ、大規模・複雑なシステムでは15%程度まで上がるケースもあります(システム幹事)。開発費300万円なら年間15万〜45万円のイメージです。
金額差が生まれる4つの要因
同じ「システム開発」でも見積額が大きく違うのは、主に次の4つが理由です。
- 要件がどこまで固まっているか:曖昧なまま見積もると、リスク分が上乗せされるか、後から追加費用が発生します
- ゼロから作るか、既存を活かすか:スクラッチ開発か、パッケージ・クラウド活用かで金額の桁が変わります
- 誰が作るか:エンジニアのランクや地域によって人月単価が変わります
- 契約形態:請負は総額が確定しやすい一方でリスク分が乗りやすく、準委任は稼働に応じた変動型です
契約形態による違いは、別記事「受託開発とSES(自社開発 vs 外部委託)の違いを発注者目線で解説」で詳しく扱っています。
安く見えて後で高くつくケース
発注で最も多い失敗が、契約後の追加費用です。構造的な原因は大きく3つあります。
- 要件定義の曖昧さ:要件定義書に書かれていない機能は、後から頼むと「仕様変更」扱いになり追加費用が発生します
- スコープの膨張:チャットや口頭での細かい依頼が記録されないまま積み重なり、気づいたときには大幅なコスト増になります
- 安すぎる初期見積もり:相場より大幅に安い場合、テストの省略やスコープの狭さが理由のことがあり、後から変更対応費で回収される構造もあります
対策はシンプルです。「作らないもの」を契約前に明記し、変更は必ず書面で影響見積もりを取ること。変更管理のルールを契約に入れておくと、想定外の請求をかなり防げます。
見積比較でチェックすべき3ポイント
複数社の見積もりを比べるときは、総額ではなく次の3点を見てください。
- 工程の内訳が書かれているか:「一式」表記ばかりの見積もりは、後から範囲の認識ズレが起きやすいです
- 前提条件と「含まれないもの」:保守費・サーバー費・仕様変更の扱いが明記されているかを確認します
- 安さの理由:相場より大幅に安いときは、その理由を必ず質問します。答えが明確なら問題ありません
Gonmuraの場合
Gonmuraでは、お見積もりの前に「そもそも何を作るべきか」の整理からお手伝いしています。要件が固まっていない段階では、いきなり総額を出すより、段階を分けて小さく始めるほうが結果的に安くつくことが多いためです。
見積書は工程別の内訳を明示し、含まれない費目も事前にお伝えします。他社の見積もりが適正かどうか、セカンドオピニオンとしてのご相談も歓迎です。

